はじめに
「小説を書きたいと思っているけど、何から始めたらいいのかわからない」
そう思っている方は、多いかもしれません。
執筆というのは、一見すると「思いついたことを書く」という自由な活動に見えます。しかし、Word や Googleドキュメント などの一般的な文書作成ツール、あるいは Obsidian や Notion などのノート・マークダウン型アプリ、さらには Scrivener などの専門の執筆ソフトを使うにせよ、実は「準備段階」があり、その準備をしっかり整えることで、その後の執筆がずっとスムーズになります。
本記事では、執筆を始める前に「何を決めておくべきか」を説明します。
執筆前の準備:5つの質問
執筆を始める前に、以下の5つの質問に答えてください。
1. ジャンルは?
「どのような話を書きたいのか」を整理します。
1・恋愛小説?
2・ミステリー?
3・冒険ファンタジー?
4・日常系コメディ?
5・SF?
6・歴史冒険活劇?
正確に決める必要はありません。
ざっくりとした方向性が見えれば、それで十分です。
なぜ必要か:
- 執筆の方向性が決まると、「こういう描写を入れるべき」「このキャラクターはこう行動すべき」という判断基準ができる
- 見当違いな執筆を避けられる
2. 主人公は誰か?
「誰の視点で、どのような人物の物語なのか」を決めます。
1・学生?社会人?老人?
2・男性?女性?性別に関わらず?
3・どのような背景を持つ人?
4・その人は、何を求めているのか?
これも、細かく決める必要はありません。
「大学生の女性で、何か秘密を抱えている」くらいの粗さでいいのです。
なぜ必要か:
- 「この人物だったら、こう反応するだろう」という一貫性が生まれる
- 執筆中、キャラクターの行動が、唐突に見えることを避けられる
3. 舞台は?
「どこで、いつの話なのか」を決めます。
1・現代日本の東京?
2・架空の中世ヨーロッパ風の世界?
3・未来の宇宙ステーション?
4・実在する地元の小さな町?
なぜ必要か:
- 舞台が決まると、「その時代・場所では何ができて、何ができないのか」が見える
- 描写の正確さが増す
例:
1舞台が「現代東京」なら、スマートフォンがあるのが自然
2舞台が「中世」なら、スマートフォンはあり得ない
このように、舞台が決まると、自動的に描写のルールが定まります。
4. 大まかな流れは?
「物語の起承転結」を、ざっくりと決めます。
1起:主人公がある事件に巻き込まれる
2承:事件の真相を探る中で、様々な人物と出会う
3転:実は自分の友人が関わっていた、という真実が判明
4結:友人と対面し、秘密が解かれる
ここで「完璧なプロット」を作る必要はありません。
むしろ、「ざっくりとした4行プロット」で十分です。
なぜ必要か:
- 執筆の「ゴール」が見える
- 途中で「次は何を書く」を迷わなくなる
5. 「誰に読んでもらいたいのか」を考える
「この物語は、どのような読者を想定しているのか」
これは、なぜ大切か:
1・恋愛を重視する読者なら、恋のシーンを丁寧に描く必要がある
2・冒険を重視する読者なら、アクションシーンを充実させるべき
3・心理描写を重視する読者なら、セリフより地の文を充実させるべき
読者のタイプを意識することで、執筆の優先順位が変わります。
書いてんかでの設定方法
上記の5つの質問に答えたら、書いてんかでそれを記録します。
ステップ1:新規プロジェクトを作成
書いてんかを開き、「新規MD」を作成します。
ステップ2:基本情報を入力
1プロジェクト名:「春の庭」
2ジャンル:恋愛小説
3タイトル:「春の庭:ふたりの季節」
4概要:「大学の庭園で出会った二人が、季節を通じて関係を深めていく物語」
ステップ3:アイデアボードに設定を記録
書いてんかには「アイデアボード」機能があります。
これは、執筆中に「あ、このアイデアを忘れたくない」という時に、素早くメモできる場所です。
1【主人公について】
2・名前:田中花子
3・年齢:20歳
4・背景:大学1年生、庭園デザインに興味がある
5・性格:内向的だが、好きなことには情熱的
6
7【舞台について】
8・場所:関東地方の大学キャンパス
9・季節:春から冬
10・特徴:古い庭園があり、四季の変化が美しい
11
12【物語の流れ】
13・起:庭園で彼と出会う
14・承:季節の変化とともに、関係が深まる
15・転:夏祭りで、二人の関係が試される
16・結:冬に二人は何を選ぶのか
このように、思いついたことを自由に記録しておきます。
後で、本文執筆の時にこれを参照することで、「この章で入れるべきディテール」が思い出せます。
最初の数百行を書く:実践的なコツ
準備が整ったら、いよいよ執筆開始です。
1. 「完璧」を目指さない
最初は、「とにかく思いついたことを書く」くらいの気持ちでいいのです。
1「この表現は自然か?」
2「この描写は必要か?」
こうした質問は、後から考えるもの。
最初は「とりあえず、話を進める」に集中してください。
2. 冒頭は「いつでも後で直せる」と覚えておく
「完璧な冒頭」を書こうとする人は多いですが、これは時間の無駄です。
多くの執筆者は、本文が完成した後に、「やっぱり冒頭は違う」と気づいて、書き直します。
ですから、冒頭は「とりあえず、その時点で思いついたもの」くらいの気持ちで大丈夫です。
3. 「止まったら、別の場面を書く」
執筆中に、「次はどうなるんだろう」と行き止まったら:
1・その場面を飛ばして、別の場面を書く
2・或いは、別のキャラクターの視点で書く
3・或いは、時間を進めて、別の日の場面を書く
このように、「書けるところを書く」という柔軟性が大切です。
執筆は、必ずしも「冒頭から順に」進む必要はありません。
4. 定期的に保存・記録する
書いてんかは、「ここまで書いた」という記録をつけるのに最適です。
1「第1章冒頭500文字完成」
2「主人公の背景設定が決まった」
のように、小さな達成を記録することで:
- 「自分は進んでいる」という実感
- 後から「どのような過程で完成したか」の記録
が残ります。
創作の心構えについて
「執筆する時の心の在り方」「モチベーションを保つコツ」といった、創作の本質的な話は、本記事では扱いません。
十人十色、ひとそれぞれの心構えがあるからです。
例えば、以下のような資料が、参考になるはずです:
- 創作初心者向けブログ・YouTube:実際に執筆している人の、リアルな経験談
- 創作論の書籍:「なぜ物語は必要か」「どう考えれば、面白い話が作れるか」といった、理論的な学び
- 創作コミュニティ:同じ目標を持つ人との交流
これらを通じて、あなた自身の「創作スタイル」を見つけることが、最も大切です。
最初のプロジェクトのポイント
1. 短めから始める
いきなり「100章の長編を書く」というのは、挫折の元です。
最初は「10章程度の短編」「同人誌向けの10,000字」くらいの目標で、十分です。
完成させる経験が、次のプロジェクトへのモチベーションになります。
2. 期限を決める
「何年かけてもいい」では、ズルズル進まないことが多いです。
「3ヶ月で完成」「3週間で下書き完成」くらいの、緩めの期限を決めることで、執筆が加速します。
3. 誰かに読んでもらう
自分だけで完結させるのも良いですが、可能なら:
1・信頼できる友人に読んでもらう
2・創作コミュニティに投稿する
3・編集者のフィードバックをもらう
他者のフィードバックは、自分では気づかない改善点を教えてくれます。
よくある初心者の悩み
「キャラクターが勝手に動く」という経験
ベテラン執筆者は「キャラが勝手に動く」と言うことがあります。
これは:
- 十分なキャラクター設定ができていて
- その人物の心理が、執筆者の中に構築されている
という状態です。
初心者の時点では、この経験がなくても大丈夫。
むしろ、執筆を進める中で、キャラクターが「生きて」くるのを感じることになるはずです。
「話が続かない」という悩み
これは、多くの初心者が経験します。
対処法:
11. 「4行プロット」に戻り、次の展開を確認する
22. それでもわからなければ、別のシーンを書く
33. 最後に、つなぎ合わせる
執筆は、必ずしも順序通りに進む必要はありません。
「何時間かけても、1章が完成しない」
最初のうちは、これは普通です。
執筆スピードは、経験を積む中で、自然と上がります。
大切なのは、「時間をかけた分、質が高くなる」という思い込みを避けることです。
「完璧を目指さず、とりあえず完成させる」という経験を、何度も積むことが大事です。
まとめ
執筆を始める前に決めるべきことは:
- ジャンル:どのような話か
- 主人公:誰の話か
- 舞台:どこで、いつか
- 流れ:起承転結のざっくりした構想
- 読者:誰に読んでもらいたいのか
これら5つが明確なら、執筆を開始できます。
その後の、細かい設定やストーリー展開は、執筆しながら考えても大丈夫。
むしろ、「書く中で、キャラクターや世界が生きてくる」という経験が、执筆の醍醐味です。
書いてんか:無料の執筆ソフト・アプリでの活用
書いてんかは、完全無料の執筆アプリ・執筆ソフトとして、以下の機能を提供します:
- アイデアボード機能:思いついたことを自由に記録
- プロジェクト管理:複数の小説・シナリオ執筆プロジェクトを整理
- バージョン管理:「ここまで書いた」の記録と過去状態への復帰
- 複数デバイス対応:PCでもスマートフォンでも、ブラウザから執筆可能
書いてんかなどの専門的な執筆ソフト・アプリを使うことで、Wordやテキストエディタでは実現しにくい、小説執筆専用の効率的なワークフローが実現できます。
これらを通じて、「準備から執筆、そして完成まで」を一元管理できます。
書いてんかのアイデア整理機能については、以下のドキュメントで詳しく説明されています: